その他有価証券評価差額金はただの評価差額
その他有価証券評価差額金は、ただの評価差額です。こちらが今回の結論です。
なんだか文字数も多く、すごい複雑な会計処理が裏に隠れていそうですが結局は評価差額を表しています。
その他有価証券評価差額金とは、会社が所有するその他有価証券の期末時価の評価替えを純資産区分で表示する勘定科目です。
そもそも、財務諸表に表示される有価証券には4種類あります。
有価証券の種類
- 売買目的有価証券
- 満期保有目的債券
- その他有価証券(投資有価証券)
- 自己株式
それぞれがどのようなものかについては別の記事で解説しますが、その他有価証券評価差額金はその名の通り、その他有価証券という有価証券に関連する勘定科目です。
そして、その他有価証券評価差額金は、期末にその他有価証券の時価を算出して、取得価額より大きいか小さいかを表します。
その他有価証券評価差額金の仕訳例
その他有価証券評価差額金の仕訳例について、オーソドックスな処理(全部純資産直入法)で解説します。
時価が取得原価を1,000千円上回る場合
投資有価証券 1,000 / その他有価証券評価差額金 600
/ 繰延税金負債 400
という仕訳になります。
時価が取得原価を1,000千円下回る場合
その他有価証券評価差額金 600 / 投資有価証券 1,000
繰延税金資産 400
という仕訳になります。
それぞれの場合に共通して、投資有価証券という資産勘定に対応するようにその他有価証券評価差額金勘定を立てています。
仕訳は上記のもの以外出てこないので、単純に投資有価証券勘定を増やすか減らすかで貸借を切り替え、相手勘定にはその他有価証券評価差額金と繰延税金資産/負債(金額はその他有価証券評価差額金×法定実効税率。貸借で判断すればOK)を持ってくるだけです。
損益としては認識しない
その他有価証券評価差額金という勘定は、費用でも収益でもなく純資産です。
そもそも、その他有価証券とはどのようなものでしょうか。
たとえば株式のような価格変動による収益を狙うものは売買目的有価証券に分類されますし、社債のように満期を迎えるまで利息をもらうために持っておくものは満期保有目的債券に分類されます。
そして、その他有価証券は、その名の通りそれ以外のものです。
一般的には企業間の持ち合い株式などが該当します。
繰り返しますが、売買目的ではないのでいちいち期末に評価損益を認識して帳簿価額を更新する必要はありません。
でも、簿価は時価に合わせる必要があります。
いくら売買目的でないと言っても、財務諸表に何年も前の古い取得価額がそのまま載っている状態では投資家の判断を誤らせる懸念があるからです。
そこで出てくるのが評価差額をどう反映させるかという問題ですよね。
帳簿価額を変えるということはその辻褄をどこかで合わせる必要がある。
売買目的有価証券であれば、時価を反映させる為に評価損益を相手勘定として認識できるわけですが、売買目的でないものの評価差額は損益として認識できない。
そこで、純資産です。
会社の利益を増減させる損益項目には算入せず、あくまでB/S上で完結する純資産項目にします。
投資有価証券の金額が増えればその他有価証券評価差額金という純資産が増加し、投資有価証券の金額が減れば、減少する。
こうすれば、売買目的でないその他有価証券の差額を損益に算入させなくて済みます。
そして、期末の帳簿価額も時価を反映した実体のある金額にすることができます。
その他有価証券評価差額金をもっと知るためにおすすめの本
今回は、その他有価証券評価差額金を取り上げましたが、
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会計の専門用語ではなく、それぞれの意味合いや目的をもとに解説している本です。
筆者は大学でも会計学を専攻したんですが、どうしても会計ってかたい言葉が多くて理解しにくかったんですね。
そんな僕がこの本を初めて読んだ時、こう思いました。
難しい言葉を使わず、誰でも伝わるわかりやすい言葉で解説してくれるこの本にもっと早く出会いたかった・・。
ちなみに今回取り上げた「その他有価証券評価差額金」についてももちろんばっちり解説されています。
わかりやすく会計について知ることができるので、今まで会社を見る上で会計の知識は必要だとは思っていたけどいまいちとっつきにくいな〜、なんて感じていた方にはうってつけです。
ぜひみなさんもこの機会に、会計の世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。