会計って全然難しくない

世の中の会社の業績を測るために必要な、会計の知識。皆さんはどれくらい知っていますか?
今回は、「赤字がだとやばいのは流石にわかる」とか、「粗利率が高い会社の方がいいのは流石にわかる」ぐらいのなんとなく決算書を見てきた人たちにぜひ読んでほしい、会社の会計の読み解き方を解説します。

会計の目的

会計の目的は、ズバリ「企業の状況を数値で測定し、外部に開示すること」です。

  • 投資家に向けて投資の意思決定を促進するため
  • 金融機関に融資のリスクを計らせるため
  • 就職しようか迷っている人にいかに素晴らしい経営基盤を持っているかを知らせるため

・・・などなど。
相手先は様々ですが、共通していることは、「数値化して開示する」ということです。
また、「認識・測定・記録・報告」の手続きが企業会計の役割として示されています。

認識

企業の経済活動の中で、どれを会計の対象とするかを判別する

測定

認識された経済活動について、貨幣価値を持って数値を割り当てる

記録

認識、測定された金額を帳簿に反映させる

報告

記録された会計事実を外部に表示、伝達する

決算と計算書類

会社は、自分たちで決めた事業年度の終了の日から2ヶ月以内に、法人税や消費税を計算して、所轄の税務署に申告を行います。
その際、提出を義務付けられているのが決算報告書。
会社の業績や経営状況を表すために、決算日時点の内容で作成する、俗に言う「決算書」です。

決算報告書には主に4つの書類があります。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 株主資本等変動計算書
  • 個別注記表

これらの書類について、一つずつその目的と仕組みを解説していきます。

貸借対照表とは

貸借対照表は、会社の財政状況を表すものです。
Balance Sheetの略としてBSとも呼ばれます。

資産の部、負債の部、純資産の部の三つから構成されます。
資産として持っているものがどれくらいあって、一方で負債として抱えているものがどれくらいあるので、最後に残る純資産はこれぐらいですよ、と読み取ることができます。

ポイント

資産 ー 負債 = 純資産

また、一般的に貸借対照表は左右に分けて表示(勘定式)することが多く、その場合は、左側が資産の部、右上が負債の部、右下が純資産の部となり、左右の合計は必ずイコールになります。
ちなみに会計では勘定の左側を借方、右側を貸方と呼びます。

後述する損益計算書との違いは、期末時点まで積み上げてきた結果を示すものであり、一定期間のスペックを表す損益計算書とは性質が異なります。

借方貸方の分類

資産科目を借方、負債科目と純資産科目を貸方に表示します。

損益計算書とは

損益計算書は、会社の経営成績を表すもので、収益と費用、利益を示します。
Profit and Loss Statementの略で、PLとも呼ばれます。

売上高をまず表示し、その下にいくつかの要素を表示していきますが、規則性があります。
基本的には、収益の項目と費用の項目が交互に表示され、収益から費用を引くとさらに限定的な収益が算出され、そこからさらに性質の異なる費用を引くとさらに限定的な収益が算出される仕組みです。
繰り返していくと最終的に、税引前当期純利益となり、税金を計算する大元の利益の金額が表示されます。

具体的に、損益計算書に表示される項目を上から解説します。

売上高

企業が事業年度内に稼いだ売上の総額です。

売上原価

企業が事業年度内に支出した、売上を上げるために最低限必要な支出です。
よく言われるのが、仕入です。

売上総利益

売上高から売上原価を引いた金額。粗利とも呼ばれます。

販売費及び一般管理費

企業が事業年度内に支出した、通常の営業に必要な範囲の支出の金額です。

営業利益

売上総利益から販売費及び一般管理費を引いた金額です。
その企業の一般的な利益の指標であり、現実的な収益力の指標です。

営業外収益

企業が本業として行っていること以外で得た収益の金額です。
その収益を得ることを目標としていないが、儲かったものを表示します。

営業外費用

通常の営業に関係しないものの、その企業の資産から支出したものです。

経常利益

営業利益に営業外収益を足し、営業外費用を引いた金額です。
想定外の事態を含まないその企業の収益力を示す指標です。

特別利益

文字通り、特別な利益です。
例えば事業に使用している機械や建物を売却して得た利益などが該当します。
その会社が利益を得ようと支出した(投資した)結果に得たものではない、臨時的な利益を指します。

特別損失

文字通り、特別な損失です。
例えば自然災害により被った資産の損壊、盗難の被害など、その会社が想定していない臨時的な損失全般を指します。

税引前当期純利益

経常利益に特別利益を足し、特別損失を引いた金額です。
法人税申告書で税金の計算をする時に、会計の最終利益として扱われる金額。その企業の事業年度の最終的な利益金額(税金を含まない)として表示します。

法人税等

法人税、地方法人税、事業税など、課せられた税金の金額を表示します。

当期純利益

税引前当期純利益から法人税等を差し引いた金額です。
税金の納付も考慮した後の、その企業の事業年度の最終的な利益の金額を表示します。

借方貸方の分類

費用科目を借方、収益科目を貸方に表示します。

株主資本等変動計算書とは

株主資本等変動計算書は、事業年度内に企業の株主資本がどのように変動したのかを示します。
Statements of Shareholders Equityの略で、SSとも呼ばれます。
資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式などの項目を、期首の金額から期中の増減、期末の金額まで一連の流れを追って表示します。
元々は貸借対照表の一部でしたが、株主に対しての業績開示を行う上で重要性が高い項目のため独自の計算書類となりました。

個別注記表とは

個別注記表とは、計算書類を作成する上でどのような基準を採用しているかを一覧にまとめたものです。
具体的には、重要な会計方針に関する注記、貸借対照表に関する注記、損益計算書に関する注記、株主資本等変動計算書に関する注記などが挙げられます。
例えば、消費税の計算方法は税抜方式ですよとか、減価償却の方法は定率法でやってますよなど、様々なフォーマットを表示する書類です。